田螺長者 その6
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娘はいくら探しても夫の田螺が見つからないから、これはいっそ谷地の田の中の深いところさ入って死んだ方がいいと思って谷地田に飛び込もうしていると、後ろから、これ娘何をすると声をかけられ、振り向いて見ると水もしたたるような美男が、深編笠をかぶって腰には一本尺八をさして立っていたど。娘は今までの事を話して、私は死んでしまうからと言うと、その美男は、それは何も心配する事はない。そなたの尋ねる田螺はこの私であると言う。娘は、そうではない。と言うと、美男はその疑いはもっともだが、俺は御水神様の申し子で、今までは田螺の姿でいたが、それが今日、お前がお薬師様に参詣してくれたため、このように人間の姿となった。俺は御水神様にお礼参りをしてここへ戻って来ると、お前がいないので、今まで方々尋ね探していたのだと言った。そこで二人は喜んで一緒に家へ帰った。
娘も美しいと思ったが、田螺の息子がまたそれにもまさるほどの美しい若者で、似合いの若い夫婦が揃って家に還った。父親母親の驚きと喜びようッたら話にも昔にもないほどだったど。すぐに長者どんの方へも知らせると、檀那様もかか様も一緒に田螺の家へ来て見て、大喜びで、こんなに光るような息子を聟殿を、こんなむさい家には置かれないと言って、町の一番良い場所に立派な家を建てて、そこで若夫婦に商いをさせることにした。そうしたら田螺の息子という事が世間に評判になり、うんと繁盛して、たちまちのうちに町一番の物持になったんだど。そして老いた父親母親も楽隠居をし、一人の伯母子も良いところに嫁に行き、田螺の長者どんと呼ばれて親族縁者みな喜び繁昌したど。
どんどはれ
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