古屋の漏
--------
むがしあったずもな
野っぱらの中の一軒家に爺様と婆様と娘が住んでいたんだど。
大雨の夜に山の虎が何か食うものないかと、のそのそと一軒家の近くに来たんだど。
その時爺様が、それそれ古屋の漏りが来た。そらまた来たと言った。
それは家が古いため雨が漏って来たとゆってらんだど。
娘がそんなに古屋の漏りはおっかねのがと聞いたんだど。
爺様は『古屋の漏りが一番おっかね』と言ったんだど。
娘は『狼よりもおっかねが』と聞いたんだど。
爺様は『狼よりおっかね』と言ったんだど。
娘はまた『山の虎よりおっかねが』と聞いたんだど。
爺様は『虎よりおっかね』と言ったんだど。
それを聞いた虎は、それでは古屋のモリというものは俺より強いもんだなア、これは日本にこうしては居られねといって唐へ渡ったんだどさ。
どんどはれ

戻る 

轢もとに戻る

Copyright 2003
turuchan