デンビの柿の木
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むがしあったずもな。ある所に男あったづもな、なにか良い事ねえがど観音様さ行って七日七夜願掛けをしたんだど。そしたら満願の日に、観音様が夢枕に立って、「お前の願掛けは聞いてやる。明日の朝余が明けたら前の坂を下りて行け。そして一番先に目に付いたものを大事にして持っていけ」と告げたんだど。その男は朝早くに、御堂を出て前の坂を下りて行くと、一粒の柿の種が落ちていたんだど。男は何だべと思ったどもこれも観音様が告げられたものだべと思いありがたく持って帰ろうとした時、ピッタっとデンビにくっついたんだど。
そのうち芽出して根がついてでっかくなってきたんだど。おがってしまっておっきな柿の木になったんだど。春には花が咲いて秋になると柿の実がいっぺなったんだど。男は柿を売りに町に行ってもうがったんだど。町の柿売り悔しがって男の柿木を切ったんだど。そしたらその切り株からきのこがいっぺはえできたんだど。またきのこ売りに町さいったけばきのこがいっぺ売れてもうがったんだど。きのこやが悔しがって切り株を根こそぎぬいでしまったど。
そしたらその穴から甘酒が噴出したんだど。男また町さ行って甘酒売って大金持になったんだどさ。
どんどはれ